キジログ@愛

鴨宮☆隆がその半生を綴るブログ

ネット黎明期の話(その5) - ネットの深淵「テキストサイト」「割れず」「MP3」「エミュ」「BM98」

(初稿:2017-05-02)

(前回からの続きです)

www.bird-love.love


【前回までのあらすじ】
エロ目的でwindows95マシンを購入した若きキジ少年(私)はインターネット黎明期の文化を堪能。ついにはチャットで知り合った女性と現実世界で会うが、しかし恋に破れ絶望する。心に闇を抱えたキジ少年はついにアングラサイトの扉を開けてしまうのであった・・・

☆ほぼ記憶だけで書いているので時系列に多少矛盾があります。ご容赦下さい☆

☆今回はたぶん西暦2000年前後のお話です☆  

 

 

 

文字がモニタを埋め尽くす「テキストサイト」 

 

 

  

私『我が心を支配せし混沌を暗示する一面の暗黒世界に刻まれるは滴り堕ちる血涙の如き赤文字なり・・・』(訳:サイト構成が「黒背景に赤文字」)


恋に破れた私の心情を表したようなサイト名。

そしてなにか、妙に心をくすぐる画面構成。

 

どうやらここは最近流行の「テキストサイト」のようです。

※「テキストサイト」とは文字通り「文章」をメインコンテンツとしたwebサイトの総称。内容的には現在の「ブログ(おもしろ系)」に近いが、しかしテキストサイトはあくまでも個人運営であり、サイト管理者には相応のスキル(HTMLの知識、周知・広告(相互リンク等)、絶対的文章センスなど)が要求された。史上最も有名であろうテキストサイト「侍魂」の全盛期においては数秒待ってページをリロードするとアクセスカウンターの値が「数十~百ぐらい上がる」程の驚異的なPVを誇った。なんか面白くてリロードしまくって遊んでた覚えがあります。

 

ボクノ心にわき上ガる

深き闇より召還されし暗黒の獣はまるでその殺戮本能の誘惑に抗えぬ傲慢な孤狼かの如く禁断の館の扉を開くのである(訳:ページを開いた) 

 

 

 

-僕の日記-

<腐蝕編>

章 「深淵
虫って呼ぶな。・・・・死ねっ。

 

 

入口からしてこのセンス。

この時点ですでに相当キテます私。

私『絶望、か・・・。俺にぴったりの居場所だぜ・・・』(※注:気分が相当昂ぶっている)


・・・人はそれを「中二病」と呼ぶ。
それは決して抗うことの出来ない病。誰もが一度は通る茨の道。

たとえば異世界での自分の名前「ベルシュタッド=フォン=グランエルシール」:いつもは身分をかくして森の中で静かにくらしているが実はその正体は前の「ゲルニオス-エルシール戦役」で敗北してめつ亡してしまったグランエルシール王国の王子なのである。仲間からはいつもは「ベル」とよばれている。ゲルニオス帝国の独裁の制度で生活がくるしくなってしまった人たちを救うために、ベルは仲間たちと共に今ふたたび王国を復活させるために立ち上がるのである。)を考えてみたり、禁断の最終奥義の名称(「亡国༒薄暮༒そして漸」:正統な王族の血を引く者にしか扱えないとされる異様なまでに長さが長い伝説の剣「† グランドキルオール 」からくり出されるベルの最終奥義。過去の悲しみが深いほど技の強さが強くなのであるが、だが技の力が強すぎるので使用者の肉体はこわれてしまい命の保証はない。攻撃属性は「光」。王国時代のベルの教育係りであり剣の先生でもあったエヴァンズじいからは「王子、その技は何があっても絶対に使ってはいけませんぞ」といつも言われている。)を考えてみたり、側にまとわりついてくる小さな妖精(「リリィ・リンカート」:いつもベルの側にいては何かと憎まれ口をたたく妖精の少女。仲間からはいつも「リンク」とよばれている。本当はベルの事をだれよりも心配しているのだがついつい憎まれ口をたたいてしまうのがたまにキズ。能力は回復系呪文が使えるので、いつもベルを助けてくれる頼りになる仲間なのである。)に迷惑してみたり。

 

人は誰しもこういった時期を経て大人になるのです。
というか上記の厨二妄想サンプルテキストを書いてて心の奥底が大変にザワついたのは何故でしょうか。

  

さて「絶望の世界」ですが、2017年現在もサイトが存在します。(※更新はされていません)

 

[絶望の世界] http://aaaaaa.ojiji.net/

 

URLが既に中二感満載ですね。

実際はテキストサイトというよりはWEB小説と言った所でしょうか。

ここではあえて内容に言及しませんが、大長編の力作ですのでご興味のある方は是非本家サイトをご覧下さい。あくまでも中二心をくすぐるメタ的な展開もさることながら、物語には「掲示板」や「ICQ」など当時のインターネットを代表するコミュニケーション・ツールも登場しますのでネット黎明期の雰囲気がリアルに感じられます。

さわりだけでも読んでみて下さい。心がザワつく事必至です。
 

 

 

 闇のポータルサイト「カルトブックマーク」

当時のいわゆる「アングラサイト(アンダーグラウンド・サイト)は相互の結束が強かったように思います。

同じ地下住民同士が持つ共通の空気感からか、または犯罪行為による背徳の連帯感からか、それは分かりませんが、ともあれアングラサイト同士では「相互リンク」が活発に行われていました。

故にアングラ世界に一歩踏み込むと、そこからは相互リンクの効果によりどんどん深くへと潜ることが出来ます。

 

さて中二テキストにはまって心に暗黒の炎を宿したキジ少年(私)。

それからは「黒背景・赤文字」のサイトを巡る日々。

更なる闇を求めて「UG(アンダーグラウンド)リンク集」を開きます。

 

中学生「Welcome to Underground.....」

 

どこからか、誰かの囁き声が聞こえてきます。

そう、私は自分でも気付かないうちにネットの深淵、その深みへとはまりつつあったのです。

 

ではここで当時のUGリンク集の雰囲気を見てみましょう。

 

世界最強の危険リンク集

 UGリンク集。危険。

日本海溝  UGリンクサイト。
街の灯  UGの検索サイトです。
カルトブックマーク  大御所です。とにかく最強。
Life sucks!!  閉鎖されました。
闇の杜  アングラツール集。
子犬のわるつ  アングラツール集。隠しアリ。
UnderMind  更新なし。

※(注)ネットの片隅に今も放置されているリンク集を参考に再現しました

 

何はともあれ「tableタグ命」(※「表」を作るHTMLタグ)、そこに赤文字リンクと説明文を入れるのが当時の標準スタイルです。HTMLはほとんどがテキストエディタで手打ちでした。ええ、「隠し」の有無を確認するため常にサイトのソースを見ていた私にはわかります。

さてこの表は過去に実在した本物のサイト名を用いて作成しています。

この中でも特に思い出深いのが「カルトブックマーク」です。当時のUndergroundにWelcomeしちゃってた方なら誰もが知っている有名サイトですが、その内容はどう考えても「真っ黒」そのものでした。

「カルトブックマーク」では各カテゴリごとに多数のリンクが貼られ、管理者による「リンク切れ」や「閉鎖」状況の細やかな確認と更新の早さ、それによりリンク先のサイトが「生きている」確率が非常に高いなど、当時の実践的UG民から最も信頼をおかれたアングラサイトと言えるでしょう。

f:id:gibraltar_may_tumble:20180330194458p:plain当時のカルトブックマークをスクショ下貴重な一枚(拾い画)

 

それは正に闇のポータルサイトと言えるものでした。

サイトは現存せず魚拓も消えてるようなので以下は記憶だけで書きますが、カテゴリの一部を解説していきます。なんか熱くなってきましたよ私。

  • 「テキスト」
    テキストサイトへのリンクです。先述の「絶望の世界」へもリンクが貼ってあった気がします。その他読み物系サイト全般へのリンク。当時は「テキストサイト」もなぜかアングラリンクの一部とみなされていました。このカテゴリには基本違法性はありません。

  • 「ニュース」
    個人運営のニュースサイトへのリンクです。UG関連のニュースもありました。カルトブックマークの管理者さんは「ムーノーローカル」(現在は閉鎖)を強くオススメしてた覚えがあります。ムーノーさんは遵法のニュースサイトですが「猥褻」や「女教師」がらみの事件を厳選して記事にするなど変態的感性にあふれる大変魅力的なサイトでした。ムーノーの元管理者さんは現在では名を変えTwitterなどもやっておられるようで表社会で活躍のご様子です。このカテゴリも直接的には法的な問題ありません。

  • 「WAREZ」
    通称「割れず」。アングラ初期の頃は「ウェアーズ」とそのまま読まれていましたが次第にローマ字読みの「われず」が定着していきます。元々は英語の”SoftWares”からきており、この”Wares”の「S」をハッカーっぽく「Z」に置き換えてWAREZと表記されました。一言で言うとソフトウェアの違法DLの事ですな。現在でも使われる「割れ厨」という言葉はここから来ています。ソフトウェアを違法にアップロードする事を「割る」と表現しますが、ネット回線が貧弱だった当時は本当にファイルが「割られた(分割された)状態」で上げられており、悪い人達はそれを1つずつ落として結合したとかしないとか。当時でもこれはさすがに「真っ黒」と認識されていました。

  • 「MP3」
    現在では一般的な音声フォーマットとして認知されていますが、当時の「MP3」という言葉には暗に「音楽の違法ダウンロード」という意味が含まれていました。「CD2WAV」で生データ吸い上げて「午後のこ~だ」でエンコしてアップするのが悪い人達のスタンダード。これらのツール自体は違法じゃないんですけどね。MP3ファイルを上げる・落とす行為は当時ももちろんガッチガチの著作権法違反、普通に「違法」でした。

  • 「エミュ」
    「エミュレーター」の略で、パソコン上で家庭用ゲーム機の動きをEmulateする(真似する、ぐらいの意味)ソフトウェアの事。当時はNES、SNES、GB、PS、SS、N64などのエミュが存在しました。エミュレーターそのものには違法性は無かったように記憶しています。問題は「ROM」の方ですね。ROM=ゲームデータそのものですので、当然アップするのも落とすのもダメです。

  • 「BM98」
    当時大ヒットしたPS用ソフト「ビートマニア(コナミ)」のシステムを丸パクリしたPC用の音ゲー。無償で配布されていました。ユーザーが自作曲を作成・配布できるなど当時としては画期的なシステムが人気となりUG界隈で流行しましたが、ヒット商品を真似されたコナミは激おこ、大企業のマジギレには勝てずネット上から順調に消されていき気付いたら完全消滅していました。また、J-POPなどの流行曲をBM98用にデータ化し配布する有志が登場するなど、JASRAC的な意味でアウトなファイルも多数存在していました。

  • 「Toolz」
    PC用の便利ツールへのリンク。ほとんどの場合ツール自体に違法性はありませんが、使用者の行動や目的次第で悪のツールへと変貌します。たとえば ”「ReGet」で落とした分割ファイルを「らるちー」で結合・解凍” して復元されたファイルが「公開された膨大な数の研究論文」なら合法、「割れ・MP3・ROM」なら違法です。まぁそんな論文ないけど。要はユーザーの意識の問題ですな。



西暦2000年前後の日本のネット社会にはこんな世界が密やかに、しかし公然と存在していました。

知っている人しか知らない世界ではありましたが、ただそこはワールドワイドウェブ、全世界に公開された情報なワケですから公安当局も指をくわえて見ているわけにはいきません。

なかなか進まない法整備の問題を巧妙にクリアしつつも、結果としてこれらアングラサイトから複数の管理人を逮捕するに至りました。

いつの時代も悪は悪、それはすべからく社会により制裁されるものなのです。

 

さて。

ではここで当時のアングラサイトの「現物」を見てみましょう。

ここは後に「逮捕された」と噂される管理者さんが残したもので、現在でも放置されたまま存在する希少価値の高いアングラサイトのリンク集(サブページ)です。(※メインページは管理者逮捕と共に公安様が消去なされた模様。)

今確認した所、最終更新日は1999年6月2日となっております。大変リアルです。

心の準備が出来た方は以下のリンクを踏んでみて下さい。では参りましょう。

 

 

‚Ó‚­‚Å‚ñ‚ÌŠÙ 

 

 

まさにネットの残滓。
リンク文字すら文字化けしているのが生々しいですね。そして中身は当時のままですのでさらに生々しい。怖くてリンクを開きたくない方はキャプチャした画像でどうぞ。↓(画像だけですのでサイトには飛びません)

f:id:gibraltar_may_tumble:20170502183326p:plain

余談ですが、このサイトのURLをつぶさに見ると  ”当時「geocities」と並んで使用頻度の高かった無料WEBスペース「tripod」がインフォシークに吸収された後、既存サイトを継続させるべくシステム的な部分でtripodのURLがinfoseekに自動変換されちゃって管理者不在のままサイトだけがあれよあれよと生き延びてしまった感” が醸し出されていて個人的には胸熱です。 

 

 

今も貴方は悪い人「ネット犯罪の現在(いま)」

この様にネットの深淵、その片鱗に触れたキジ少年(私)は、いつしか『診断君でA評価以上の串を刺しながらセガBBSに書き込みをする(無駄に)』程度のUG民となっておりました。『生IPでネットなんて怖くて出来ないよね』とか意味も分からず口ずさんでいましたが、結局のところ一線を越えることなくどうにか表社会に踏み留まるのです。

なんせ私、いつもお父さんお母さんから「悪い事をしてはいけないんだよ」と教えてもらってましたし、なによりも私自身が中二を拗らせただけのビビりでしたからね。当時猛威を振るったウイルスhappy99(実は無害)」に感染した時点で完全にガクブル状態、タイーホされた自分の画を想像つつ両親になんて謝ればいいのか言い訳を考えながら半泣きでPCを再セットアップしたのは今となってはいい思い出です。(血涙)

ただしエロ関係に関してだけは怖いもの知らずで攻めてましたね当時の私。

ダウンロードしたエロ動画の物量はもとより極悪ツール「FLマスク」でモロ画像を復元してみたりとか?それはもう相当なワル(エロ)でしたから。ですので残念ながら「わいせつ的な観点」で言うと私自身の存在がすでに「黒」、そしてテレホタイムマスター(※過去記事参照)を自称した私の”あの部分”は未使用ながらも毎夜に及ぶ「♥セルフメディケーション♥」により手厚く看護されドス黒く変質しておりましたから、やはりどこをどう見ても「黒」、もはや言い逃れできません。

 

さて、密かながらも隆盛を誇ったこれらアングラサイト群ですが、時代の流れと共に徐々に人々の記憶から消え去っていきます。一時はUG最強と呼ばれたカルトブックマークでさえ、いつからか更新がなくなりリンク切れも多数、最後には全く無用なサイトと成り果て、そして、誰にも知られず静かに消えていきました。

インターネットが社会インフラとして確立され、そのメインストリームがSNS等の「表舞台」へと移行していく中、時代に逆行したアングラサイトは徐々にその輝きを失っていきました。現在では法整備と共に違法サイトの取り締まりも着々と進み、その姿は当時を知る人々の記憶の中でわずかに生きるのみとなっています。

ただし、悪い人間による犯罪が無くなる事は未来永劫ないでしょう。
最近では「TORを使ったなりすまし事件」をはじめ「掲示板での殺害予告」「薬物売買」などのネット犯罪がありますが、これらは「通常の犯罪」が社会インフラであるネット上に流れ込んできてしまったものだと私は思います。現在のネット犯罪では、そこに人間の純粋な「悪意」が介在するのです。

現在も「割れ」は存在するそうですが、その目的はオイシイ「エサ」でアクセス数を増やし広告収入やらなんやらで金儲けをする事でしょう。金儲けの為にモラルを捨て法律の網の目をかいくぐり運営されるキュレーションサイト等も、私から見れば割れサイトと似たようなものです。すなわち人々の「悪意」がただ、聞き慣れない横文字や見慣れない技術で偽装さてれいるだけなのです。

 

一方、昔のアングラサイトでは「悪意」よりも「興味・関心」がより優先されていたように思えます。アングラサイト管理者のみなさんは、常に逮捕されるかも知れないリスクを抱えたまま無償で「割れず」を提供していました。何が彼らを動かしたのか。少なくともお金の為ではなかったように私は思うのです。

ただし、犯罪行為はNO 日和ってる?それ、誉め言葉ね。

いやマジメな話、犯罪はダメですよ犯罪は。

ですので決して彼らを擁護はできません。でもね、

私はただ、あの時代のあの空気、それがちょっぴり懐かく思い出されてしまったのですよ。(懐古厨乙)

 

 


エロと日記の吹きだまり「私の愛した場所」

さて、さんざん語ってきました私ですが現在では立派な情弱おじさん@妄想系になりましたどうも。( ´_ゝ`)

でもこれからもネットとか色々規制されていくんですかね。悪いことは淘汰されれば良いと思ってますがただ”私の聖域”にだけは踏み込んで欲しくないですね。

先日カリビア○コムが摘発されたとか、ちょっと前はF○2がモロ動画をストリーミングしてなんか問題になったりとか、そのような大変暗いニュースが世間を騒がせたように記憶しています。

で、公安方面の方にぜひ申し伝えたいのですが、

エロ関係の規制だけは本当に勘弁して下さい死んでしまいます。

ネットでのエロ鑑賞は私に残された唯一の生き甲斐なのです。(こんな自分が大変残念でなりません)

奴らがもし私からそれを奪うのであれば、私も本気で対抗せざるを得ませんね、もはや。

私が本気を出せば、まずはチャットで女子とお話しして手当たり次第に声をかけ300人に1人ぐらいの確率でオフで会ってくれる方がいるかも知れないので会えた全員に土下座してお願いしてみたらその中の2%程度の女子が慈悲で応じてくれるかも知れないので「ありがとうございます!ありがとうございます!」と叫びながら私のありったけの愛を放出する行為に及びたいと希望してます。ええ、なにも対抗できていないの分かってますので大丈夫ですよ。

さて、ブログでキューレーションサイトの闇にまで斬り込んでしまうぐらいとても社会派な私と共に現代社会の大きな課題である少子化問題を考えそして実践的に解決して頂ける女子を常時募集しております。おじさんとめくるめく愛の世界へ深く潜ってもいいかなアタシ、とかちょっとでも思われた方は是非私にメールください。そして私のかわいそうな「黒い部分」慈悲深く愛して頂ければ幸いです。ウヒィ

 

 

ネット黎明期の話 完