ヒップホップ初心者のための『ZORN(ゾーン)』入門
今回は私の好きなヒップホップアーティスト「ZORN(ゾーン)」さん(以下、敬称略)を紹介する記事です。完全に個人の趣味です。動画大量ですのでお覚悟を。
さて「ヒップホップ」というと
アングラで首に高そうなゴールドチェーンをギラギラジャラジャラさせつつド派手なアメ車に乗りキャップ被ってヘイヨーチェッケラプチョヘンザ言いながらクラブで札束ばらまいてヘネシーかっこみマリファナプカプカしてるイメージ(ド偏見)
かと思いますが、しかしZORNは違います。
ZORNの持っているものは「家族」「仲間」「地元」。その根底には常に愛があるのです。
- 『洗濯物干すのもHIPHOP』
- 『過ごした時間は血よりも濃い』
- 『俺が夢を捨てなければ夢は俺を捨てない』
- 『俺は平成産まれ"昭和"育ち』
- 『街を歌い地元をrep』
- 『でもまだおろしたての情熱』
- 『今夜 拍手の雨よ降れ』
- まとめ
『洗濯物干すのもHIPHOP』
ともあれ、まずは以下の楽曲をお聴き下さい。
ZORN - 『My Life』
動画を再生しながら以下の説明を読んで下さい。
若い頃のZORNはワルで、何度か逮捕され少年院にぶち込まれています。しかし現在では心を入れ替え純真無垢にヒップホップの道を追求しています。
少年院を出たZORNは心を入れ替え、これまでのような犯罪行為から手を引きHIPHOPの道で食っていく決意を固めました。そしてあるとき嫁に出会いそして結婚しました。嫁さんには1歳と3歳の連れ子がいました。しかしアーティストとして全く売れていなかったZORN。HIPHOPだけでは3人の家族を養えません。そこで生活費を稼ぐため職人をやりながら、同時にHIPHOPの道を探求することにしたのです。こうしてZORNの二足のわらじ生活が始まります。
『過ごした時間は血よりも濃い』
音楽聴きながら読んで下さい。
ZORN - 『Letter』
割と最悪な家庭環境で育ったZORN。親や環境を恨んだ時もありました。しかし親からの愛情は確かに受けて育っていたのです。その愛は自分の子供達に引き継がれます。奥さんの連れ子、小さな二人の娘達。ZORNは血の繋がらない二人の娘に無償の愛情を注ぎます。そう、かつて自分がそうされてきたように。
・・・はい。動画を再生し終えるまで待ってから次の項目に進んで下さい。
『俺が夢を捨てなければ夢は俺を捨てない』
ここで若い頃のZORNの話をします。
下の動画を再生して下さい。
ZONE THE DARKNESS - 『奮エテ眠レ』
ZORNは初期には「ZONE THE DARKNESS(ゾーン・ザ・ダークネス)」という名義がで活動していました。*1この名義で「THE罵倒」というアングラなラップバトルに出場し三連覇を果たしたこともあります。そんなこんなでアングラ界で名を馳せましたがしかし悪事がバレて逮捕されたりなんだったり、若い頃は決して順調な歩みとは言えませんでした。
『UMB』というラップバトルの2008年大会*2に出場したZONE THE DARKNESS。そのとき当時すでに有名だったラッパー『般若』に見つかり、目を付けられます(※良い意味で)。
その数年後、ZONE THE DARKNESSと再会した般若は彼に声をかけます。
「おい、お前、俺と一緒にやらないか?」
『俺は平成産まれ"昭和"育ち』
ZORN - 『Don't Look Back』
スカウトを受け、般若の立ち上げたレーベル『昭和レコード*3』に所属することとなったZORN。(このとき名義を「ZORN」に変更しました)
昭和レコード所属時代のZORNはまさに躍進と呼ぶにふさわしい活躍をしました。
出したアルバムと代表曲は以下の通り。
- 『サードチルドレン』・・・「2 Da Future」他
- 『The Downtown』・・・「My Life」他
- 『生活日和』・・・「Letter」他
- 『なにか+1』(ミニアルバム)・・・「新しい日々」他
- 『柴又日記』・・・「かんおけ」他
- 『Anthology』・・・(ミックスアルバム)
- 『LOVE』・・・「Love Yourself」「All My Homies」「My Love」他
(各曲にYoutubeのリンク貼ってあります。)
アルバムを実に7枚も出しています。(たぶん合ってると思います)
2014年から所属していた昭和レコードを2019年、30歳になった事を機に脱退。この年齢を区切りと考え、自分の力量を試すべくなにか新しいことをしたいという決意だったそうです。
そして独立し、自身のレーベル「All My Homies(オール・マイ・ホーミーズ)」を立ち上げます。そこで最初に出したアルバムに収録されているのが、今あなたが聴いているこの曲『Don't Look Back』です。昭和レコードに対する感謝と尊敬、だが俺は後ろは振り返らないと、強い決意で歌っています。
般若曰く「俺が声をかけたのは後にも先にもこの男だけ」
※昭和レコード時代に「般若 x ZORN x SHINGO★西成」名義で出したアルバム『MAX』も名盤ですので、よければサブスクなどで聴いてみて下さい。
『街を歌い地元をrep』
ZORN - 『Rep』
ZORNの出身地は東京都葛飾区の新小岩です。ラッパーは自信の地元をレペゼンしますがZORNは特に地元愛が強いです。(※Represent、レプリゼント(略してRep、レップ)/~を代表する、みたいな意味)
さて、自身のレーベルから出した9thアルバム『新小岩』ですが、タイトルまんまの地元愛もそうですけど何よりも客演が豪華すぎてもはやゲロ吐きそうです。そんな豪華feat.をざっくり見ていきます。
- 『Rep』feat.MACCHO・・・HIPHOP黎明期から活躍しているOZROSAURUS(オジロザウルス)のMC、MACCHO(マッチョ)です。ハマの怪獣、レペゼン横浜。
- 『Rollin'』feat.AKLO、NORIKIYO・・・AKLO(アクロ)は同世代で先に売れたパイセン、NORIKIYO(ノリキヨ)は一回り上のパイセンです。それぞれ有名なラッパー。ZORNは二人ととても仲良しみたいです。
- 『No Pain No Gain』feat.ANARCHY・・・ANARCHY(アナーキー)も大変有名なラッパーです。というかレジェンド。永遠にギャング的なイメージのお方です。
- 『One Mic』feat.KREVA・・・2000年代から活躍し一般リスナーにラップを浸透させたKICK THE CAN CREW(キックザカンクルー)のメンバーKREVA(クレバ)です。ラップに興味がない人でも名前はうっすらと知っている程度に有名人です。ちなみに徹子の部屋にも出たことがあります。
- 『Life Story』feat.ILL-BOSSTINO・・・北海道の伝説的HIPHOPグループ「THA BLUE HERB(ザ・ブルー・ハーブ)」のMC、ILL-BOSSTINO(イル・ボスティーノ)です。インターネットも無い時代の日本語HIPHOP黎明期に北海道ローカルでの活動から一躍全国区になった伝説のラッパーです。ライムスターのMummy-D(※レジェンドラッパー)がかつて言った「北の地下深く技磨くライマー」。
なにが凄いってこれら全てが全て神曲な事です。(※主観です)
こだれけ豪華なメンバーがZORNのアルバムに集結するのは、つまりそれだけZORNがHIPHOPシーンから認められているという事でもあります。
『でもまだおろしたての情熱』
ZORN - 『Lost』
iTunesやオリコンのダウンロードランキングで軒並み一位を獲得するなど、もはや売れっ子となったZORN。(※ZORNはサブスクを解禁していないので、音源を聴くにはお金を出して楽曲を購入しなくてはなりません。) 人生は順風満帆。成功、名誉、そしてかつては考えられなかった程の金。夢は叶い、全てを手にしました。
しかしやってきたのは虚しさの募る日々。大きなものを得た分、大切なものを失っていたのです。(この項で紹介している楽曲『Lost』を聴けばその辺がよく理解できると思います。短い歌なので是非フルで聴いてみて下さい。)
『Lost』の歌詞を引用します
なぁこれが幸せか?
虚しくなりに俺は来ただけか?
こんなんじゃ文無しの方がマシ
手にすることは無くすことだった
これから掴むどんなもんより
最初に持ってたもんが尊い
もういらねぇ
成功も名誉ももういらねぇ
全てを手にしたZORNは、それでもラップを続ける理由を探す旅に出るのです。
『今夜 拍手の雨よ降れ』
2021年には日本武道館公演と横浜アリーナ公演、そして2022年にはさいたまスーパーアリーナ公演を成功させたZORN。彼のHIPHOPに対する情熱は決して枯れることはありません。
今後のZORNの活躍にも注目です。
『拍手の雨』
じゃあ一体ラップすんのなぜか
ただ浴びたい 拍手の雨が
その一瞬のため ほんの一瞬のため
この一生を賭ける
なんだかんだ言ったって やっぱ感謝しかねぇ
家族や仲間やみんなへ
俺の言葉の救われたっていう
その言葉に救われ立ってる
夢はどれも言えば叶う
俺を見てりゃ分かる
ゾロゾロ駅で溜まってた連日
想像もできねぇ眺めが現実
腐ったミカンでもスーパーアリーナ
それがHIPHOPの素晴らしさ
まとめ
本文中にも書きましたがZORNはサブスクを解禁していません。にも関わらずここまで多くのファンに支えられるのはひとえに彼の生み出す音楽の圧倒的な素晴らしさにあります。その「凄さ」は文字で云々語るよりも実際に聴いてみた方が早いです。個人的には現時点で日本一のラッパーだと思っています。(※主観です)
この記事を読んで少しでもZORNに興味を持って頂けたら、まずはYouTubeなどで少しずつ楽曲を聴いてみて下さい。そして、気に入って頂けたらぜひライブへ行ってみて下さい。なお、次は東京ドーム公演が予定(※現時点で日程は未定)されています。
さて、次回のZORN記事ではその魅力をもうちょっと深掘りしていきたいと思います。言うてもまぁ私にブログを書く気力があればの話ですがね( ´_ゝ`)
どの口が何言うかが肝心 この口が「愛」つーから安心♡
ではまた。