トイレにこもると落ち着く件
掲題の通りなのですが、私はトイレにこもると心が落ち着くのです。
トイレにこもる際は大体スマホか本を持って入ります。
そして家にいる他の人がドアをたたかない限り何時間でも居座ります。
とは言いつつも、ずっとこもっているとなんとなく怒られそう気がするので1時間程たったら一旦外へ出ます。
そして家の中の空気感を読み、なんとなく「まだ大丈夫そう」だと感じたら再度トイレに引きこもります。
あの狭くて閉鎖された四角い空間。
ドアの鍵を閉めますと、まるで母親の胎内に戻ったかのような安心感を覚えます。
若い頃に読んだ島田雅彦さんの小説に、今の私と同じように「トイレに引きこもる男」が描かれていました。
その男は一家の父親で、家のトイレが和式から洋式に変わったのをきっかけにトイレにこもるようになり、最終的には自分専用の本棚まで設置していたような記憶があります。
トイレにこもると言うのは、逃げるような感覚かも知れません。
家という現実からの逃避なのかも知れません。
そこにいるときは他の誰からも干渉されません。
私は完全に一人になれる時間が欲しいのです。
ATフィールド全開。
うちは賃貸暮らしですから、分譲住宅のチラシが頻繁にポストに入ってきます。
安月給なので家を買うことはできないのですが、暇なときはそのチラシを見ます。
何枚ものチラシを手に取り、私はトイレに入りました。
一通りマンションポエムを堪能していたら、とある戸建て住宅の間取りが目にとまりました。
その家には3畳の書斎があったのです。
書斎には本棚を置き、机を置き、PCを設置します。
どうせなら小型の冷蔵庫も置きましょう。
喉が渇いたら冷蔵庫からアイスコーヒーを取り出して飲みます。
夜になったらウイスキーをロックで。
そこでは一日を好きなように過ごせます。
洋式トイレの便座に座り、ケツを丸出しにしたまま私はそんな事を考えていました。
私の尻時計が、時間の経過を敏感に察知します。
そろそろ1時間が経過する頃です。
トイレを出て家の中の空気感を読みます。
私はチラシをそっとゴミ箱に投げ入れ、洗濯物をたたみ始めました。
周りに人が居ます。
うるさかったりします。
でもまあ、それはそれで、悪いことでもあるまいさ。
そんな事を思った、休日の午後。